
現在、ヤングマガジンで連載されている『コッペリオン』という作品。作者の井上智徳という人は新人みたいですね。新人としては異例の抜擢だとか。でも、その辺にはあまり興味がありません。
興味を魅かれるのはその内容。簡単にいうと、今から30年後ぐらいの近未来を舞台に、お台場に作られた原発がメルトダウンを起こして廃墟になってる東京に、遺伝子操作によって放射能に対する抗体を持った女子高生の格好をしたコッペリオンと呼ばれる女の子たちが、自衛隊の特殊任務を受けて潜入するというお話。舞台に今住んでいる場所の近くが出て来たりして、知ってる地名や景色が登場するのも楽しめるのですが、今の時代に原発の事故をテーマに作品を発表したのがすごいなと思っています。
というのは、環境問題の中でも地球温暖化がクローズアップされている現在、CO2を排出しない原発には注目が集まっていて、「原発ルネッサンス」なんて呼ばれてるような状況だからです。電力会社も「原発はクリーン」というイメージで売り出そうとしていて、この前までそんなCMも流れていました。(さすがにJAROから「原子力発電にクリーンという表現を使うことはなじまない」との通達を受けたみたいですが)
最近では、柏崎の原発の事故が記憶に新しいですが、あの原発も地元で使う電力を作っていたわけではなく、東京で消費される電力を作っていたんですよね。で、発電が止まって、さぞ東京の人が困っているだろうと思って訪れた市長だか知事だったかが、何も変わらず電力を消費している東京を見てショックを受けたという話もありました。
そういう文脈からも、東京のど真ん中に原発を作って、それが事故を起こしてしまうというテーマはタイムリーなのかなと。しかも作中では、放射能で汚染されて封鎖された東京に、密かに他国から引き取った放射性廃棄物を持ち込む組織なんかも登場して…。
「そんなにまでして電気が欲しいんか」という主人公の言葉が胸に響きます。(こんな夜中に電気を使いながらブログの更新なんぞをしているので)
▲ by masumania | 2009-05-09 03:36 | 本/マンガ