スローなヨーロッパ

 最近すっかり流行りの言葉になってしまった感のある「スローライフ」とか「スローフード」についてです。いわゆる「スローフード」運動は、世界的に広がりつつある「ファストフード」に対抗し、自分たちの古くからある食文化を見直し、守るためにイタリアのBRAという町で始まりました。そんなことから、イタリアを「スローフードの国」と呼ぶ人たちもいますが、私にはこの呼び方がちょっと違和感があります。
 それは、イタリアを初めとするヨーロッパ諸国でいう「スロー」や「ファスト」の速度と、日本でのそれの間に随分と大きな差があるように感じるからです。

 私は親の仕事の都合で、一時期ヨーロッパ(オーストリアのウィーン)で暮らしていたことがありました。先日、その時の知り合いが遊びに来ていたのですが、彼がいうには「ウィーンもすっかりファストフードの波にやられてしまっているよ。スターバックスも出来たし、マクドナルドなんてもうウィーン市内に4軒もあるよ」なのだとか。
 ちょっと整理しますと、ウィーンの人口は約170〜180万人ぐらいです。それに対してマクドナルドが「4軒も」あると嘆いているのです。ちなみに私の住んでいる市(東京のはずれ)は人口30万人足らずですが、マクドナルドは4軒以上あると思います。
 考えてみると、現地で暮らしていたとき、その日に食べるパンはその日の朝にパン屋に買いに行っていました。次の日になると食べられなくなってしまうからです。そして、パン屋などの個人商店でも夏にはきっちり1カ月間、バカンスで店を閉めていました。客が離れてしまわないかと、こっちが心配になってしまいましたが、周囲の住人たちはそういうものだと思っているらしく、バカンスから帰って来ると普通に客が戻っていました。もちろん、そのお客たちもみんなバカンスは1カ月程度とっているので、別に不満はないのでしょう。
 土日は、大きなスーパーやレストラン、お土産物屋や服屋など“休日のお買い物”で訪れるようなお店以外は全てお休み。下手をすると食べ物がなくなってしまうので、金曜には土日の分の食糧を買いだめしていました。
 そんな地域でいう「スロー」と、コンビニやファストフード店があふれ、夏休みは一週間も取れれば良い方、という日本での「スロー」では、同じ言葉でも随分意味が違うような気がします。

 イタリアにも旅行で行ったことがありますが、マクドナルドもスターバックスも見かけませんでした(私が行ったのが田舎だったからかもしれませんが)。バールと呼ばれるカフェのような店に入れば、気軽に食べられるサンドイッチやライスコロッケのような物を食べることができましたが、当然さっき作ったかのような物ばかりで、パックもされていないのでその日のうちに食べないと確実に悪くなってしまいます。
 しかもイタリアでは昼食は家に帰って食べるのが習慣のようで、昼休みは確実に2時間以上あるとか。それでも夕食には家に帰っているようです。その分、朝は早いみたいですが。
 そんな国を、ファストフード化された日本の感覚で「スローフードの国」と呼ぶことには、やはり抵抗を感じてしまいます。ましてや「スロー」なのはイタリアだけでなく、ヨーロッパの国々はだいたいこんな感じ。時間の流れ方が日本やアメリカとは違うようです。同じ「先進国」でも、本当に豊かなのはどっちなのでしょうね。
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by masumania | 2005-06-05 22:40 | 日々のつぶやき  

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