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高速道路1000円は成功だったのか!?

 ある人がブログで「「千円高速」の政策は完全に成功したと言えましょう」と書いていたのを読んで、ちょっとショックを受けました。その人は、この政策は「賑わいの創出」をしたから成功なのだという論理で語っていましたが、そもそも高速道路に人を集めることが目的でしたっけ? 景気対策って名目だったはずだと思いますが。だとしたら、その経済効果がどれぐらいあったかの数字も出ていない状況で「完全に成功した」というのは早計なのではないかと。
 確かに賑わいが生まれればお金は動きそうなものですが、高速道路のパーキングエリア以外で、その恩恵なあずかれた人たちって果たしてどれぐらいいるのでしょうか?

 そもそも、これだけ渋滞が生まれれば、CO2の排出量はムチャクチャ増えます。東京新聞の記事(有料登録してないと読めないみたいですが)によると、乗用車は時速60〜80kmぐらいで走ってるのが最も効率が良いのですが、それが時速10kmに落ちるとCO2の排出量は約2.5倍になるそうです。
 ちなみにGW中に高速道路がどのくらい混んだかは同じく東京新聞のこちらの記事で読めます。この記事によると、鉄道の利用は7%減ったとか。ちなみに、1人1km移動する際に排出されるCO2は鉄道が18g、自動車は172gです。効率の良い鉄道の利用が減って、自動車の利用が増え、しかもこれだけの渋滞を巻き起こしていては、どれだけCO2の排出量が増えたことやら。
 ただでさえ、京都議定書のマイナス6%すら達成が危ぶまれている状況で、景気対策のためとはいえ、こんな時代と逆行する政策もないと思うんですけどね。

 で、その肝心の景気対策になっていたのかっていう部分でも疑問が残ります。高速のパーキングエリア以外に儲かった場所がどれぐらいあったのかという疑問もありますし、国交省によると渋滞時には1.3人が乗っていると仮定した乗用車で、1分間に62.86円の経済的損失が出るらしいです。渋滞がなければ、仕事がズムーズに進んだり、ほかのことに時間を使えたという考え方だとか。
 GW中であっても物流は動いてますし、渋滞に巻き込まれた長距離トラックなんかは良い迷惑だったのではないかと。(ちなみに、この「1000円」が適用されるのは乗用車だけで貨物車とかは普通に料金を取られてます)

 確かに、これだけ人が動いた(踊らされた?)ということは、それなりのインパクトがあった政策であることは認めますけどね。一方で、派遣切りとか内定取り消しとかにあって(そんなのにあわなくても仕事が減っていて)明日の仕事にも困る人たちがいるというのに、ほかにお金の使い道はあったのではないかと思ってしまいます。
 今回の「1000円」は単なる値下げではなくて、その差額分はきっちり税金から補填されて、その予算は5000億円がすでに計上されてます。結局、自分たちの税金で払うんですよ。その税金は、踊らされて渋滞に巻き込まれた人たちだけでなく、家でおとなしくしてた人たちも同じように取られるわけですし。

 そもそも、割引を受けられるのがETCを取り付けてるクルマだけっていうのも、どうなんだろって感じですよね。別に料金所通るクルマも1000円置いてけばいいだけで面倒な計算もいらないんだから、それでいいじゃんと思うんですけど。
 だいたい天下り法人ばかりが儲かるシステムになってるETCという仕組みがそもそも……、ってキリがなくなりそうなので、この辺で。



追記:まったく同じ内容のことを書いてる人がいてびっくり。購読してる新聞まで、どうやら同じらしい…。

by masumania | 2009-05-09 13:16 | 気になるニュース・言葉  

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