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反響も要望も

 特にないのですが、前の記事の続きです。

 なんで同じネタをこんなに引っ張ってるのかというと、この“途中で止めてタイミングをずらす攻撃”が打倒ムエタイのためのキーになる技術のひとつではないかと思っているからです。
 というのは、鈴木秀明選手がローキックでやっていた“途中で止めてタイミングをずらす”動きを、ラジャダムナンのタイトルと獲った武田幸三選手もやっていたからです。こちらはパンチで。

 ラジャのタイトルを獲ったvsチャラームダム戦のフィニッシュとなった右パンチがまさにそれっです。
 テレビなどでも何度も映像が流れているので、気付いている人も多いと思いますが、このパンチが途中で一瞬止まっているんです。そうしてタイミングをずらすことによって、相手が合わせようとしていたカウンターのパンチをスカし、二重のカウンターみたいになってヒットしています。
 この途中で止めてタイミングをずらすパンチ、当然ですが武田選手もわざとやっていました。
 昔、あるインタビューの中で、「パンチを打つ前に頭を少し動かして、タメを作りながら相手の反応のタイミングをずらす」みたいなことを言っていたので、途中で止めるだけじゃなくて、タイミングの外し方にもいくつか種類があったようです。
 まだ武田選手が日本タイトルを獲ったばかりの頃、ガードの低い武田選手のパンチを見て「カウンターを合わせれば一発でしょ」みたいなことを言う人が結構いましたが、実際には誰一人カウンターを合わせることができなかったことを考えると、その頃から独自のタイミングを外したパンチを使っていたんでしょうね。
 最近はボクシング的なタイミングのパンチになっているせいか、カウンターを合わせられることも多くなりましたが…。

 で、また話はずれますが、この“途中で止めてタイミングをずらす”技術って、何も格闘技だけに限ったものではなくて、サッカーなんかでも見られる技術なんですよね。
 ジダン選手のドリブルとか、一瞬止まるというか止まるフリをすることで、相手のディフェンダーが過剰に反応して足を止めてしまい、そこから再加速することで相手を振り切る動きをよく見せていました。このフェイント、相手選手のレベルが高いというか反応が良いほど有効なようです。
 たぶん、「反応を競い合う競技」と言われるムエタイについても、同じことが言えるのではないかと思います。トップレベルで反応が良い選手ほど、攻撃の”起こり”に反応してディフェンスしたりカウンターを合わせたりして来ますから、その攻撃を途中で止めることによってタイミングをずらすという技術が効果を発揮するのだと思います。
 ひとつひとつの技術や反応の鋭さで勝負していたら、選手層が圧倒的に厚いムエタイの頂点に位置する選手たちにはかないませんから、こういう小細工というかズルイ技術を身に付けて、相手を引っ掛けるしかないのかなと。

 来月3日にはK-1 MAXで魔裟斗選手がブアカーオ選手とやりますが、魔裟斗選手がこういう“途中で止めてタイミングをずらす攻撃”を何か身に付けていたりすると、面白いことになりそうなんですけどね。
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by masumania | 2007-09-30 23:00 | キック/格闘技  

アタチャイのハイと…

 すみません。長らく更新をさぼってしまいました。
 最近、仕事絡みでまた格闘技の会場に足を運ぶ機会が増えて来ているのですが、先日はM-1に行って来ました。(吉本のやってるやつじゃないですよ)

 で、一番記憶に残ったのは、やはり“天才”と呼ばれるアタチャイ・フェアテックス選手。
 ゆっくり軽く動いてるようにしか見えないのに、相手の鈴木敦選手がバタバタとダウンします。見ていても、何やってるのか、ほとんど意味がわかりません。
 かろうじてわかったのは、蹴りを途中で止めて、タイミングをずらしたり軌道を変化させて蹴っていること。蹴りが遅く見えるのは、たぶんそのせいでしょう。

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 写真は動きの中の一例。体は完全に右側に返っているのに、蹴り足はまだ地面から離れるか離れないかで、かなり遅れて出てくる感じです。これで相手のタイミングをずらしつつ、ガードの位置を見て、蹴る場所を決めるみたいです。1つめのダウンは、この状態から相手がステップバックしてかわしてるのに、軸足でジャンプしてハイキックを入れて奪っていました。神技です。
 このほかにも、蹴り足を上げてから空中で一瞬止めるようなパターンや、途中で軌道を変えるパターンなど、3種類ぐらいの蹴り方を使い分けてるようでした。(気付かなかっただけで、たぶんもっとあると思いますが)

 で、このアタチャイのハイキックを見ていて思い出したのが、かつてムエタイの強豪を次々と撃破し、若き日のアタチャイとも闘っている鈴木秀明さんのローキック。
 この人のローも一見すると遅く見えるのですが、相手がディフェンスのために上げた足がちょうど着地するタイミングでヒットしていて、実はタイミングを絶妙に変えて蹴っていたんです。まあ、初めて見ると遅いローキックにしか見えないんですが、ただの遅いローをムエタイのトップレベルの選手が何発ももらうわけはないですからね。

 しかも、幸運なことに、この日の帰り道、その鈴木秀明さんとお話する機会がありました。
 とりあえず、挨拶などをしつつ、聞きたいのはアタチャイのハイキックと鈴木さんのローキックの話。やっと「あれって同じことをやってたんですよね?」と聞くことができたら、「そうなんですよ〜」とうれしそうに認めてくれました。
 聞けば、モーションを起こして相手にカットの足を上げさせ、その着地の瞬間にヒットさせるローのほかにも3種類ぐらいのタイミングのローキックを使い分けていたらしいです。相手が警戒してカットの足を降ろさなくなったら、そのままパンチを打って、パンチを受けたら必ず足が降りるからそこを狙うローとか。
 鈴木さんは「アタチャイと同じことをしてるのに、向こうは”天才”と呼ばれて、こっちは“ドンくさい”とか“ドタバタしてる”ですからね〜」と笑っていましたが、現役時代は結構悔しかったんだろうなと思いました。
 でも、長年の謎が解けて、うれしい1日でした。

 “途中で止めてタイミングをずらす攻撃”については、まだ書きたいことがあるのですが、長くなりそうなので、また今度にします。
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by masumania | 2007-09-26 23:29 | キック/格闘技  

格闘技通信 No.430

c0013594_295692.jpg こちらもすでに書店に並んでいる(場合によっては、すでに売り切れている)媒体ですが、『格闘技通信』の最新号でちょっとだけ試合レポートなどを書いています。本当に少しだけなので、細かくは書きませんが、孫ファンジン選手のレポートとかです。(この人のブログが面白く、今自分の中で流行中)

 中学生の頃から読んでいる媒体なので、読者暦はもう20年近くになるんですね。確か、初めて購入したのはNo.19でした。それから今までに買ったバックナンバーがほとんど全て取ってあるというのも恐ろしいことですが…。いったいどれぐらいあるのか、一度整理しておかないと…。
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by masumania | 2007-09-13 02:08 | キック/格闘技  

環境会議 2007年秋号

c0013594_1395059.jpg すでに発売になっていますが、宣伝会議の『環境会議』という雑誌で記事を書いています。
 UNEP FI特別顧問の末吉竹二郎さん、東京大学教授の山本良一さん、グリーンフューチャーズの吉田敬史さん、環境コミュニケーション・アナリストの遠藤堅治さんのインタビューを担当しました。
 インタビューをしながら、非常に勉強になることが多い媒体です。今回も特に末吉さんと山本さんのお話が勉強になりました。

 末吉さんのお話で面白かったのは、これからのCO2削減時代に求められる経営センスのお話。アメリカの某小売業社では年間で1億個の白熱電球を売っているらしいのですが、それが全部蛍光灯に切り替わった場合、どれくらいの電気代が浮くのかまでも試算しているらしいです。1個で年間30ドルで合計30億ドルだそうです。そのあまった30億ドル分の市場が新たに生まれる、そのお金をいかに自分のところで使ってもらうか、を考えるビジネスセンスが必要なのだそうです。
 なるほどね。環境とか省エネとかいうと、コストがかかるというイメージばかりで、その削減したエネルギー分の市場が新たに生まれると考えられてる人って、まだまだ少なそうですもんね。

 山本さんによると、環境関連の論文は今1日に世界中で1万本くらい発表されているらしいです。もちろん、それを1人の人間が読むなんて不可能ですから、「ノーベル賞受賞者も東大教授もみんな不勉強」という状態なのだそうです。そんな中で、1人の人間が「温暖化はウソだ」みたいな極端な本を書いていても、1人で書いている時点で偏った視点の情報だけで書いているのは明白だから読む意味はないとのこと。科学的事実として耳を傾ける必要があるのはIPCCレポートのような、多くの科学者が集まって中立的な見地からまとめたものだけだろうとのお話でした。
 確かにね。得てして個人の主観で書いた極端な視点の本の方が売れてしまったりするものですが、1人の主張で書いたような本は眉にツバして読む必要がありそうです。
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by masumania | 2007-09-12 01:38 | 仕事  

日経エンタテイメント 10月号

c0013594_9533548.jpg 今売っている『日経エンタテイメント』10月号の「モノナビ」というページで自転車の記事を書いています。
 最近、本格的なロードバイク、それも20万円ぐらいするレーサースペックの自転車が売れているというお話。確かに、その辺でも高そうな自転車乗ってる人たち増えましたよね。休日のサイクリングロードとか行くと、すごい台数だし。
 日経エンタで記事になるぐらい注目度が上がってるってことですね。どこかのモノ雑誌の人とか、特集するなら声かけてください。
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by masumania | 2007-09-06 09:52 | 仕事  

フリーライドマガジン 012号

c0013594_947295.jpg 毎回表紙の写真がカッコイイ『フリーライドマガジン』の最新号が発売になってます。今回の写真も好きな人にはたまりません。
 この号ではモタードライダーと行くツーリングの記事と、フリーライドパーティーというイベントの体験記を書いています。
 興味のある方は書店で手に取ってみてください。写真もカッコイイし、文章も読みごたえがあって、飽きさせない雑誌だと思います。
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by masumania | 2007-09-05 22:46 | 仕事  

前田尚紀vs梶原龍児戦について

 前回の記事で書いた全日本キックの60kgトーナメントで行われた前田vs梶原戦、色んなところで「歴史的名勝負」といわれてるみたいですね。実際、会場で見ててもその実感はありました。
 で、なんであんな名勝負になったかという話なんですが、もちろん両選手の意地と意地がぶつかりあってたというか、パンチの強い相手にあえてパンチで打ち合いに行った前田選手の気持ちの強さだとか、そういう要素はもちろん大きいんですが、もうひとつ現実的な話をすると「お互いに自分のパンチが当たるから引けなかった」という部分もあったんだと思います。
 パンチで打ち合おうと思っていなかったとしても、自分のパンチが当たるもんだから、ついつい行ってしまったというか。(“ついつい”でできるようのレベルの試合でないことは重々承知してますが)

 試合を見ている時にも、周りの席の人とかが「前田はロー蹴れば勝てるのに、なんで危ないパンチで行くんだろう?」と話をしていましたが、試合中の選手って、自分のパンチが当たったイメージしか覚えてないんですよね。
 たとえ、相手のパンチをもらったとしても、試合中は痛みは感じないし、ダメージがあるかないかなんて興奮してる状態だとわからない。覚えてるのは自分のパンチが当たった感触だけだから「もう一発当てれば倒せる」とか思って行っちゃうんですよね。「カウンターもらうかも」なんて考えもしない。考えたとしても「それより先に俺のパンチを当ててやる」ぐらいの気持ちで行っちゃう。
 悪い言い方をするとギャンブルにハマる人と同じで、当たった時のことしか覚えていなくて、自分が損してる額(受けてるダメージ)を冷静に計算している余裕がないともいえますね。(失礼な書き方ですが)
 あの試合中の前田選手も梶原選手もそんな感じだったんだと思います。逆にそういう選手でないと、上には行けないし、ああいう感動的な試合はできません。私みたいに、試合中にパンチをもらうと、頭の中で自分の受けたダメージを計算しちゃうような人間はダメだということです。
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by masumania | 2007-09-01 23:58 | キック/格闘技