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HERO'S ミドル級トーナメント

 今回はビデオに撮って見たため、だいぶ遅くなってしまいましたが、結果や詳細はこちらで。

 トーナメントのベスト8に日本人が6人。しかもベスト4に勝ち上がったのは全て日本人でした。まあ、視聴率稼ぎのために日本人中心のマッチメークをしているにしても、このクラスだと日本人でも世界レベルの実力者が揃っていますね。五味選手が活躍しているPRIDEのライト級、ウェルター級のトーナメントとともに注目を集めているクラスです。

 結果から言うと、勝ち上がったのは山本KID選手と須藤元気選手という、予定どおりというか注目度の高い選手が順当に勝ち上がったといえるもの。
 須藤選手は2試合とも予想外の苦戦を強いられていたように見えましたが、最後は百戦錬磨の選手らしくワンチャンスをものにして終了間際に一本勝ち。K-1参戦で自信を深めているはずの打撃で行くのかと思いましたが、意外にも打ち合いはせず、寝技に持ち込んでの勝利でした。打撃にキレがなかったように感じたのは、右ヒザの調子が悪かったからでしょうか? それでも下からの関節技で一本取るあたりはさすがです。

 対するKID選手は2試合とも打撃(右フック)でのKO、TKO勝ち。以前から言われていることですが「当て勘」の良さと、インパクトの瞬間のパワーを感じさせる勝利でした。
 特に2試合目の宇野薫選手との試合は、宇野選手の方が打撃でもプレッシャーをかけているように見えただけに、KID選手の一発の強さが光った一戦でした。

 今さら、試合内容について書いてもしかたがないので、今回はこの「当て勘」について書いてみようかと思います。
 KID選手を評するときによく使われる言葉ですが、格闘技の選手の中にはよくいます。こういう「当て勘」がいいと言われる選手が。
 簡単に言うとインパクトの位置がずれても、きっちりその位置でダメージを与えることができる、ということなのだと思います。野球のバッティングでいうと、スイングを始めてからでも内側に差し込まれたら腕をたたんで、外にはずされても体を開いて、ちゃんとボールをとらえることができる選手みたいなものです。
 パンチというのは(わかりやすいように右ストレートで説明します)、伸びきる直前で当てる、体の正面で相手をとらえるのが一番威力があると言われていますが、試合中の相手は動いているので、なかなかそのポイントで当てるのは難しかったりします。パンチを打った瞬間に相手が前に出て来てしまったりとか。
 自分が打とうと思っていた位置から相手がずれてしまった時にでも、腕をたたんだり、体を開いたりして、そのずれた位置でもインパクトできる選手が、いわゆる「当て感がいい」と言われる選手なのだと思います。(注:私は「当て感」は悪い方なので本当のところはよくわかりませんが・・・)

 この日の2試合でKID選手が相手をしとめたのは、どちらも右フックでしたが、1試合目のホイラー・グレーシー選手を倒した一撃はやや上から腕を伸ばし気味にして放り投げるようにしてロングで相手をとらえたフック。宇野選手の目の上を切り裂いたパンチは斜め下から小さく引っ掛けるようにして打ったショートのフックでした。
 どちらのパンチもフックの動作の起こり、肩を入れるような動作までは同じなのですが、前者の場合はそこから腕を伸ばし、体を前に入れるようにしてロングで、後者ではそのまま腕をたたんでショートで相手をとらえて、きっちりその位置でインパクトを作っています。
 距離やタイミングに応じて、インパクトの位置をショートにもロングにも変えられるKID選手の「当て勘」の良さが表れているシーンだと思います。

 それに加えてKID選手の場合、インパクトの瞬間の瞬発力が桁違いに強いので、相手にとっては脅威でしょうね。総合ルールだとグローブも小さいですし。
 このインパクトの瞬間のパワーは、一般にパンチのヒットマッスルといわれる背中の筋肉が異常に発達しているあたりからもうかがえます。
 この日の試合を見ていても、寝技の展開には極力つき合わず、打撃の間合いでの闘いにこだわっていました。自分の武器をよく理解して、それを生かした闘い方だったと思います。本人もどこかのインタビューで言っていた「格闘技はバカじゃできない」という言葉の通り、かなり戦略を立てて闘っているのが感じられました。(もしかすると本人は勘で闘っていただけかもしれませんが・・・)

 大晦日の決勝戦で対戦する須藤選手も、頭を使って闘うことには定評がある選手。今から楽しみな対戦ですね。

by masumania | 2005-09-13 01:46 | キック/格闘技  

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