鉄のエコ

 日経BPのweb媒体『ECOマネジメント』「高効率化止まらぬ鉄鋼業 技術最適化でさらなる頂点目指せ」という記事を書きました。
 鉄鋼業は日本の産業界で一番CO2の排出量が多い業界なのですが、世界的に見ると一番CO2を少なく鉄を生産できるのは日本だったりします。つまり、日本の生産量を減らしてほかの国で生産すると、地球規模でのCO2は増えてしまうことになる。しかも、一番効率が高いということは、これ以上のCO2削減が最も難しいということでもあります。だから「これ以上の削減は(生産量を減らす以外では)無理」「でも国内の生産量を減らしても、他国でその分を生産したら今まで以上のCO2が出てしまう」というのが鉄鋼業界の言い分というか現在の状況です。
 では、本当に生産量を減らす以外に方法はないのか? という部分には記事の後半で触れています。簡単にいうと、現在(CO2排出量の多い)高炉法で作っている分の鉄を、鉄スクラップを活用する電気炉(CO2排出量は高炉の4分の1)で作れば、生産量を落とさなくてもCO2排出量を減らせるのでは? というのが結論です。現在、日本では鉄スクラップを海外に輸出しているぐらいなので、それを国内で使えばいいじゃんという話です。
 鉄スクラップには不純物が入ってて、品質の高い鋼材を作るのには向かないとされて言われていますが、新しい鉄を加えれば品質を高めることも可能になっているとか。記事中で触れている神戸製鋼の技術は、その新しい鉄源を作るためのものです。

 何だか、記事で書いてることをほとんどまとめちゃった感じですが、記事中で触れられなかったこともひとつだけ。
 電気炉を活用するのは別に難しいことではないのに、鉄鋼業界からその話が出ないのは、鉄鋼連盟というのは高炉メーカー(高炉で鉄を作ってるメーカーのこと)の集まりで、電気炉メーカーは入ってないんですね(電気炉を持ってる高炉メーカーは入ってますが)。高炉メーカーと電気炉メーカーが、いわば別の業界になってしまっているため、高炉と電気炉の役割分担みたいなことができていないようです。
 地球温暖化対策の取材をしていると、技術的に無理なことって実は少なくて(本当に無理なら誰もやれとは言わないわけで)、どちらかというと業界とか社会の構造的な問題でできないことが多いのだということを痛感します。逆に、その構造を変えられれば、意外と簡単にCO2は減らせるのかもしれません。
 長くなりましたが、興味を持っていただけたら記事のほうも読んでみてください。記事も長いですが…。
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by masumania | 2010-01-09 23:06 | 仕事  

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